今月は、とても面白いワークショップを二つ開催しました。
一つは15日(日)、「虫干しワークショップ〜紙と古文書の専門家と開ける反古紙(ほごし)の箱」。
虫食いだらけの謎に包まれた古文書の箱を3人の専門家と開けて、謎を探るというもの。
一見紙くずのようにしか見えない紙の束に最初は皆たじろぎましたが、その扱い方を教わり、古文書解読の歴史学者・西村慎太郎さん、文書修復の世界的大家・増田勝彦さん、文様研究家・下中菜穂さんの3人と共に解きほぐしていくと、ひとつひとつの謎が解けだし、その面白さに皆さん、すっかり魅了されていました。
紙の種類や扱い方、襖の下張り、文書の出どころ、虫食いのこと、などなど。
参加者の視点や興味の対象も様々で「もっとやってみたい!」という声も飛び出し…紙についての虫干しも続けることとなりました。
紙のお菓子!?
実は春巻きの皮を焼いたもの。下中さんの創作です。
色々なお味があっておいしかった!
“虫干し”とは、書物や着物を広げて風を通すこと。
かつてはどの家でもやっていたことをもう一度やってみることによって、現代に新しく見えてくることがありそうです。
もう一つは21日(土)「木のモノづくりワークショップ〜愛用できる箸をあつらえる」。
岐阜県の森林文化アカデミーから、輪竹剛さんと松井勅尚さんのお二人の先生を招いて行いました。
6名という贅沢なワークショップでしたが、現在使っている箸も皆さんそれぞれ。
毎年新調する人、戴きものを使っている人、継ぎ箸を15年以上愛用している人、作家モノを使っている人、お店でお気に入りを買った人、普段は割り箸を使う人などなど。
自分の手に合った長さを選び、桜、樫、朴、楓の中から樹種を選び、豆をつまんで形を考え、デザインし、何度も削って天然のオイルを掛けて、完成させました。
「こんなにじっくりお箸と向きあったのは初めて」という方や、最初と最後で箸を持つたたずまいが変わった方も。
そして実はこれが完成ではなく、その後使っていくうちにどのように変化していくか、愛着がわいてきたかどうかまでを追跡するワークショップなのです。
そしてこちらもやっていく中で、第2回もやってみたい!という声も。
参加者の皆さんのやりとりで発展していくのがワークショップの醍醐味ですね。
ものの見方、関わり方がどう変わっていくか、どちらも引き続き楽しみです。
(こ)