4月21日、「このせか」企画はまたもや館を飛び出し、茨城県土浦市まで遠征してきました。
「この世界の片隅に」を公開から途切れず連続上映している映画館、土浦セントラルシネマズさんで上映を観た後、物語とつながりのある海軍航空隊ゆかりの地や、地元の方しか知らないまちの見どころを見て歩く見学ツアーです。
案内して下さったのは、博物館の友の会会員で土浦市在住の蓮子さん。
長年館でのボランティアを務めて下さっています。
映画をもう何度も観た方も、まだ観てない方も…朝9時半集合。
この日の参加者は、なんと北は新潟から南は沖縄まで!!
まずはゆっくり2時間作品にひたって、ロビーで開催中の、おなじみ水口さん始め皆さんのファンアート展も見学。
この日は監督のスペシャルメッセージや新作の予告映像の上映もありました。
セントラルさんの前からもう物語は始まっています。
かつて川が流れていた道。
まちの話を聞きながら歩いたところで、土浦城址である亀城公園の目の前にある古民家カフェの「城藤茶店」さんに到着。
築80年以上の元海軍士官の住宅だった建物です。
名物のおいしいカレーと地元焙煎のコーヒー、そしてこれまた航空隊ゆかりの“航空パン”をおやつにいただき、店主の工藤祐治さんにお話を伺いました。
工藤さんは、近くでもう一棟古い建物をリノベーションし、様々なコミニュティづくりにも取り組んでいる方です。
今回は、映画をきっかけにまちの歴史を古い写真や聞き取りから掘り起こし、ゆかりの地をつないだマップを中心とした「かめのこジャーナル」を自費で発行されました。
蓮子さんもその調査隊のメンバーのお一人です。
土浦は10月に開催される大きな花火大会でも有名ですが、今回一番遠方からの方へということで、沖縄からご参加の方へ花火手ぬぐいのプレゼントもありました!
他にも関連する古い本の資料を見せていただいたり、皆でお話がはずんだりしたのですが、名残惜しくカフェを出発。
目の前の亀城公園の中にある土浦市立博物館さんの企画展へ。
現在開催中の「町の記憶」展は、かつて“空都”と呼ばれた海軍航空隊の町に生きた人々の生活と戦争を取り上げる企画展。
ここで副館長さんや学芸員さんのお話を伺いながら見学しました。
西口学芸員さんには周辺の戦跡のお話も。
そして、古い町並みや蔵が残るメインストリートへ。
今でも雰囲気のあるまちなのですが、実はこれでも東日本大震災の時に受けた被害が大きく、修復が叶わず泣く泣く壊してしまった建物も多いとのことでした。
今回、その中でひときわ立派な矢口家住宅の中を特別に見学させていただき、ご当主のお話を伺うことができました。
(普段は非公開)
イラストレーターである娘さんの矢口さんも見学会に同行して下さっていました。
震災で受けた甚大な被害の修復がようやく終わったものの、家の維持と活用にはご苦労が多いとのこと。
博物館のように小さな住宅ですら維持にはなかなかの覚悟がいりますから、これだけのお屋敷なら尚更と思います。
なんとか活用していかれるよう願ってやみません。
同じ町並みの中にある、土浦に飛来した飛行船ツェッペリン号の資料館へ。
海軍指定食堂だった食堂や看板建築なども残るまちなのでした。
この後JR土浦駅に戻り、市役所の屋上から霞ヶ浦を一望して一同解散となったのですが、見どころはそれだけでは収まらず、時間のある方で、ギャラリーも併設する駅直結の図書館や、掘り出し物が見つかる古書倶楽部などもご紹介いただきました。
「せっかく遠くから観に来る方に、映画にまつわるまちの面白さを伝えたい」と、聞き取りと調査を重ねて企画して下さった今回のツアー。
終わった後では、全く違う視点でまちが見えてきました。
映画館を出たら、ぜひまちへ!
空都の片隅を味わっていただければと思います。
(こ)
posted by showanokurashi-blog at 03:59|
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